転勤族を語るとき、よく言われる言葉に「転勤族の人間関係は気楽」というものがあります。住んでいる場所で人間関係が悪化しても、数年間の仲。深い付き合いになることは難しいかわりに、ドロドロした人間関係に陥ることも少ない……
これって確かに「楽」な部分。ですが、もちろん楽な部分だけではありません。転勤族の夫と結婚して10年弱の私が実感するのは、いいところ・悪いところ含めて転勤族の人間関係は独特だということ。というわけで、今回はそんな人間関係の特徴について書いてみようと思います。
「そして誰もいなくなった」がリアルにある、人間関係
例えば、こんなことがありました。我が家がとある赴任地に引っ越したとき、ママ友達になった方々が4人いました。お互い転勤族家庭で話も合い、すぐに家族ぐるみのおつきあいに。
5家庭でクリスマス会をしたり公園で遊んだり楽しく過ごしていたのですが、ほどなくして1家庭が引っ越すことになり、さらに半年後に1家庭が引っ越し、そのさらに1年後に2家庭が転勤に……。
なんと友達になってから2年弱で、その地に残るのは我が家だけになりました。あんなに大所帯グループだったのに!「そして誰もいなくなった」……リアルすぎて涙でした。
これって「転勤族あるある」のようです。思い返せば以前の赴任地で社宅に住んでいたとき、住み始めて2年間で社宅内ではすっかり古株になったものでした。改めて、転勤族とは人間関係の移り変わりが激しいんだなと思わされます。
時にぼっち感を味わうこともある
転勤族暮らしをしていて寂しいこととしては、時々ですが、その土地でできた友人たちのなかでも疎外感を感じてしまうことがあります。たとえば、私は子供つながりの人間関係が多いのですが、幼稚園や小学校のお友達のなかで普通に過ごせていても、ぐっと仲良くなる子は実際、少なかったり。
個人的には、学校行事やクリスマスなどのイベントのときに、「昔からおつきあいのあるいつものメンバー」みたいなグループを見ると、ちょっと疎外感を感じます。小さいころからのグループって、お互い成長を見守っている分、やっぱり特別感がありますよね。
転勤族間で続いていく人間関係は気楽
そんなわけで「そして誰もいなくなった」を経験し、時に疎外感を感じながら過ごしていると、転勤族って人との縁が作りにくいのかな、と漠然と思っていました。
でも、そこからさらに数年経った現在は、「ちょっと独特だけど、縁のある人とは深くつながっていける」と感じるようになりました。その理由は、浮き草のような暮らしの中で、確かにつながっていく縁を実感できたからかもしれません。
引っ越すたびに全員と別れるわけではなく、それぞれの土地で出会った人と、続いていく場合もあるんですよね。それぞれの赴任地で、いまだに家族ぐるみで時々会う関係の友人が何人かいるから。
しょっちゅう会うわけではないけれど、タイミングがあえば会って、ゆるく長く続いていく。…っていう関係は、転勤族同士だと続きやすいです。また、転勤族ってそもそも移動が多いぶん、フットワークの軽いご家庭も多く、気楽にお友達の赴任地へ行ったり、来てもらったりする場合も多い。これはこれで「自分たちのスタイル」として、ありではないかと。
そして、転勤族は再会も多いということ
もうひとつ、楽しいことにも気づきました。それは、転勤族同士なら「再会も多い」ということ。
お互い転勤族なら、別れたあとまた「ご近所」になることもときどきあります。実際、関東や関西だと多いですね。同じ県ではなくても、隣県くらいなら「遊びに行くね」で行けることも多いです。
出会って別れて、そしてまた別の場所で再会して。仮に再びご近所になることがなくとも、本当に会いたい人なら会いに行くこともできます。
「日本のあちこちで友人と会える」というのは、なんだか転勤族ならではの素敵なことじゃないでしょうか。今は、転勤族独特の人間関係を、そんな風にとらえています。